約1年前に、飲食店経営者の方に向けてセミナーをしたことを
ふと思い出しました。
企画・提案から講師までさせて頂きとてもいい経験になりました。
飲食店経営者の方へのセミナー
セミナーは、神戸市での起業や開業を支援する『神戸起業操練所』様の主催
という形式で㈱USENさんと一緒にやらせて頂きました。
自ら企画を行い、パートナーのUSENさんへの提案、神戸起業操練所さんへの提
案、そしてセミナー内容を1から作り上げていくことは、とてもやりがいがあり
ました。
セミナーの対象は、開業予定の飲食店経営者の方、開業後間もない飲食店経営者
に向けての内容です。セミナーの目次は以下になります。
1.飲食店経営の実態
2.ゴールはどこか
3.飲食店のお金(利益)の仕組み
4.飲食店の収益構造を知る
5.目標売上高の設定
6.経営戦略を考える
『お店を成長させる経営の隠し味』と少し大げさなタイトルだったかもしれませんが、
伝えたかったことは一つでした。
こちらが当時のセミナー案内(神戸ジャーナル紹介ページ)です。
セミナーで伝えたかったこと
セミナーで伝えたかったこと。
それは、
「利益」を意識する。
つまり、利益を残す仕組みを設計すること。
(利益の重要性については以前のブログでもご案内しました)
経営において、売上は大事です。
売上がなければ、利益は0です。
ただし、売上だけにとらわれてはいけいません。
経営者が異なるA店とB店というラーメン屋さんがあったとします。
同じ坪数で、同じラーメンを提供しており、月の売上も同じの場合で考えてみます。
このA店とB店、お客さんからみたらどちらも流行っているお店なのですが、
儲かっているかどうか、実際のところはどうでしょうか。
それを収支で比較するとこのような状態です。
ポイントは「FLR」の適正値の管理です。
①原価(Food:フード)
②人件費(Labor:レイバー)
③家賃(Rent:レント)
この飲食店の3大コストをどのようにコントロールするのか、
コントロールしたうえで、利益がいくら残るかを設計することが
重要になってきます。
1年後の今、伝えたいこと
お伝えした売上やFLRの管理は出店前から準備することが重要です。
むしろ、出店前に利益がいくら残るかのシミュレーションができてないと
いけません。
ラーメン屋のA店とB店の話で考えると、
家賃(R)や人件費(L)などは、なかなか減らすことが容易ではありません。
だからこそ、物件を選ぶ段階から、家賃(坪数)や必要な人件費に対して売上(客単価×客数)がい
くら上がるのかが見えていないといけないです。
そして、もう一つ大切なのは、投資回収の考え方です。
先ほどのラーメン屋のA店とB店の話で考えますと、
お店を出店するのにかかった費用が、A店は2,000万円、
B店は300万円だった場合を考えましょう。
(わかりやすくするためにかなり極端な数字です。
A店は外観、内装、設備もお金をかけてこだわり、
B店は居ぬきで自ら内装といったところでしょうか。)
この場合(単純計算にしております)、A店の投資回収の期間は、4.1年
B店の投資回収の期間は2.5年ということになります。
つまり、利益が少ないB店の方が、出店費用が少ないために、より短い
期間で出店費用の回収ができているということになります。
なかなか、儲かっているかどうかは外から見ているだけでは
わからないということですね。
ちなみに、投資回収の期間は、3年を目安に設計しましょう。
とはいえ、当初想定していた売上が、様々な要因により減少することを想定
する必要があります。
まさに昨今の状況がそうではないでしょうか。
特に飲食店経営においては、影響は計り知れず、今なおこれまでの
売上に戻る見通しも立っていない状態ではないでしょうか。
ただ、こんな時だからこそ、改めて現状の収支状況を見直して
頂きたいです。
売上が下がった今、収益構造が変化しており、利益が残らない
仕組みになっているかと思います。
その原因を改めて考えてください。
売上拡大のための販売戦略の見直し、原価管理、家賃交渉、
広告費のコントロールなど、現状にあった収益構造になっているかを
常に見直して頂きたいと思います。
その中で、店舗の移転や撤退なども一つの手段かと思います。
一人で悩まずに顧問税理士に相談して、一緒に考えて乗り切りましょう。