こんにちは!税理士の齋藤です!
消費税の申告をしている事業者のうち、
多くは原則の方法によって計算しています。
ただし、消費税の計算方法は、一定の要件を
満たす場合には、簡易の計算方法を選択できるんです。
消費税の計算方法 ①原則
はじめに、消費税の仕組みを見ておきます。
消費税は、全ての事業者が支払う義務があるわけでないです。
以前のブログ(消費税インボイス制度の対応)でもお伝えさせて
頂きましたが、消費税が免除される事業者が存在します。
簡単におさらいしておきますと、
原則、年間(一事業年度)の売上(課税売上)が1,000万円を超えると、
翌々年から、消費税の課税事業者となります。
ですので、1,000万円を超えなければ、ずっと消費税は免除されることと
なります。
こちらはあくまで、原則の規定で、消費税法には特例規定により課税事業者になる
ケースもあるので注意しましょう。
その消費税の課税事業者になった場合の原則の計算方法を見てみます。
【原則】
納付する消費税 = ①預かった消費税 - ②支払った消費税
例えば、コンビニでどらやきを88円(うち消費税8円)で仕入れます。
そのどらやきをお客さんに110円(うち消費税10円)で売ります。
この場合、納付する消費税は、2円となります。
売上の時の①預かった消費税10円 から 仕入れの時の②支払った消費税8円を引いた金額です。
このような仕入や売上の取引が会計ソフトで仕訳として処理、集計を
して消費税を計算することになります。
消費税の計算方法 ②簡易
次に簡易の計算方法を見ていきます。
この簡易で計算するには要件があります。
原則として、次の2つの要件を満たせば簡易の計算が
適用されます。
1.前の課税期間末日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」という
届出書を税務署へ提出
2.基準期間(原則2期前)における課税売上高 ≦ 5,000万円
では計算するにあたり、何が簡易なのかというと、
先ほどの原則の計算に登場した②支払った消費税は、実際に支払った
消費税ではなく、売上から概算により求めることが出来ます。
会計処理の際には、売上(収入)さえきんとち処理できれば
消費税の計算ができるのでとても簡単なわけです。
支払った消費税を計算するには、売上とその売上に対する「みなし仕入率」
が必要です。
「みなし仕入率」はあらかじめ、事業や取引の種類により決まっています。
ざっくりこんな感じです。
事業区分 | 該当する事業(代表例) | みなし仕入率 |
第1種 | 卸売業 | 90% |
第2種 | 小売業 | 80% |
第3種 | 農業、漁業、製造業、建設業 | 70% |
第4種 | 飲食店業 | 60% |
第5種 | サービス業、金融・保険業、通信業 | 50% |
第6種 | 不動産業 | 40% |
簡易の計算方法はこちらです。
【簡易】
納付する消費税 = ①預かった消費税 - ②支払った消費税(=売上の消費税×みなし仕入率)
ということで、先ほどの原則と大きくはかわらないですね。
②の支払った消費税をかっこ書きの方法で求めることになります。
例えば、コンビニでどらやきを○○円(うち消費税〇円)で仕入れます。
そのどらやきをお客さんに110円(うち消費税10円)で売ります。
この場合、実際に仕入た金額は関係なく、
仕入れの時の②支払った消費税の計算は、10円×80%(小売業のみなし仕入率)=8円
となります。
よって納付する金額は2円です。
売上の時の①預かった消費税10円 から 計算で算出した②支払った消費税8円を引いた金額です。
原則と簡易、それぞれの計算方法はイメージできましたでしょうか。
(ややこしくなる話は割愛しておりますのでご容赦ください。)
原則と簡易はどちらがお得なのか
原則と簡易、2つの計算方法を見てきましたが、
簡易の要件さえ満たせば、どちらでも好きな方を選ぶことが可能です。
先に適用期間の注意点をお伝えすると、簡易の計算はすぐに辞めれません。
原則、簡易の計算方法を2年間(2期)は継続する必要があります。
また、簡易の計算をやめる際には、届出を事前に提出する必要があることも
忘れないようにしましょう。
では、原則と簡易はどちらがお得なのか。
実はどちらが得とはいえないんです。ケースバイケースといったことになります。
この消費税の計算の選択は税理士でも慎重に扱う必要があるところです。
ポイントだけお伝えすると、
原則と簡易を選ぶときの基準としては、まず前期(前年)の取引を確認します。
ここで今期も前期と同じような取引であると考えた場合には、
事前にシミュレーションをして有利な方がどちらかを検討できます。
この際に注意しないといけないのは、設備投資等の多額の支出を
予定している場合です。
原則では、実際の支払った消費税を差引きできるわけですが、
簡易の場合には、売上等の預かった消費税から割合をかけて計算します。
つまり、設備投資等の実際の支払額が多くなる場合には、実際の支払った
消費税を引けない簡易の計算では損をするケースが出てきます。
ですので、簡易の計算を検討する場合には、先2年間の設備投資等を
考慮して選択するかどうかを最終的に判断しましょう。
ちなみに、計算方法で気づかれ方もいるかもしれませんが、
インボイス制度(詳細はこちらのブログ「消費税インボイス制度の対応」)においては、
簡易の計算を選択している事業者は免税事業者との取引の影響を受けないことになる
というメリットもあります。
消費税の負担は大きいですので、計算方法は十分検討して
選択するようにしましょう。
<今日のおやつ>
Penheur カヌレ 「ハナカヌレ」
プチサイズの見た目かわいいカヌレです。
小さいのですぐになくなるのが残念です。。。